光の跡

早起きをする予定のあるときは、カーテンをあけたままにしておく。
朝日が東向きの窓から差し込んでくる。
太陽の「みかけの」大きさは、10メートルほど離れた木々の幹の太さと同じくらいになる。
木々の向こうから差し込む光は、葉が風に揺れるたびに形を変え、一瞬たりとも同じ像を結ばない。
数年前、首都高速の大井町の近くで大渋滞に巻き込まれたことがあった。
暑い夏の夕暮れ時で、わずか数分の間に空の色が劇的に変わっていくのを、惚けたように見ていた。
この世に、「ひと」対「世界」という関係しか存在しないのだとしたら、なんと素晴らしいことだろう。
と、思う。
(もちろん、それは矛盾であり、「最後の人類」にならない限りあり得ないことなのだけど。)

光の跡