Month: 8月 2006

半音低い世界(2)

(こういう話題はきちんとその後のフォローアップをしておかないといけない。)
おかげさまで「半音低く聞こえる」現象は、ほぼ元どおりになりました。
回復の仕方は、想像のとおり、「徐々に」でした。。
数時間毎に、微妙にピッチが上がって(というか戻って)いきました。。
今でもごくわずか低いような気もしていますが、これは錯覚かも。。
ともかく生まれてはじめて経験した「脳内トランスポーズ」現象。。
ちょっと忘れられない体験になった。

半音低い世界

さて、今日はもう一件。
いま、とてもとても珍しい体験をしている。
それは薬の副作用で「世界の音がすべて半音低くなる」という現象。
これは、それほど少ない副作用ではないらしい。多くは、絶対音感の持ち主たちから報告されている。ある日、PCの起動音が、聴いている音楽が、電話のベルが、すべて半音低くなっていることに気がつく。僕の場合もまずはPCの起動音が低くてびっくりしたのだけれども、「サンプリングレートが変更されたんだろう」と勝手に思い込んでしまった。2台目のPCに電源をいれたとき、さすがにこれはおかしい、と気がつき、あわててピアノをさわってみたところ、ほんとに見事に半音低かったのだった。
僕は特に強い絶対音感があり、この違和感はかなりの衝撃だった。絶対音感のないひとでも、ある日すべての音が半音低くなったら、なんとなくおかしく感じるはずだとは思うけれども、ここまでの衝撃はないだろう。
歌を歌ってみよう。。。
ドレミ、と歌ってみることはできる。。それはピアノのドレミと同じ音だ。ところが、でてきた音を聴いてピッチをとらえるまでのどこかがおかしいらしく、歌っているはずのドレミは「シド#レ」として聴こえてくる。「歌う」ほうに神経を集中すると「ドレミ」、聴く方に意識を集めると「シド#レ」、このアンビバレントな経験!!
んん??と、いうことは、だ。音を聴いてピッチを判断する脳の機能と、あるピッチの音を出す(歌う)という脳の機能は別々の部位が司っていることになる。へー、知らんかったなあ。。
もちろん原因になった薬はすぐにやめたけれども、しばらくこの症状(?)は残るらしい。いずれは消えるものだと思うと、今度はこの状態で、脳に関する実験をしたくなったのだった。最も気になるのは、テンポ感覚はどうなっているのか?という問題。半音低く感じるというのは、つまりは、周波数を通常の状態より低くとらえているわけで、時間感覚そのものが引き延ばされていることが考えられる。つまり1日を24時間以上だと感じていることになるのか?とかね。。
いやはや。続きます。
今、外でミンミンゼミがしきりに鳴いている。この音も半音低いのであった。
同様の体験された方いらしたら、ぜひ、教えてください。。

風を待つ部屋

「風を待つ部屋」が好評のようです。
音をお聴かせできないのが残念ですが、それは現場でのお楽しみ、ということで。
(おそらく、この仕事は世界中で自分がもっとも適任であろうという仕事、そんなふうに考えることができるものはそれほど多くはない。この仕事はそういうものだった。)
会期は24日(木)までです。東京からはちょっと遠いのですが、とても気持ちのいいところですので、ぜひ、小旅行のつもりで、STARNETに足をお運びください。リビングワールドの西村佳哲さんいわく「世界中のひとにきてほしいというのが正直な気持ち」だそうです。。
僕も、同感です。

Starnetへ

2日、3日と一泊で益子のStarnetに行ってきた。メインの用件は、5日からの展示「リビングワールドの仕事展」のメインの作品である「風を待つ部屋」のサウンドエンジンを調整すること。風力センサーからのデータを処理して、その場で音楽が作られる仕組みで、今回はさらに微かな風の違いを反映できるように少し改良をくわえた。風が凪いでしまい、うちわでセンサーをあおいでの作業になったり。夏休みの理科実験の宿題みたいだ。
展覧会の詳細は、きっと、ここにあがるはずです。
http://www.livingworld.net/
久しぶりに訪れたstarnet、その中心にいるのは馬場浩史さん。
馬場さんはモードの世界を切り捨てて、15年かけて益子に自分(たち)の居場所をつくりあげた。それは独善的な隠遁生活やオカルティックなものでは決してない。ましてや「清貧」などという言葉もまったく似合わない。豊かで発展的な田舎の暮らしだ。
馬場さんと話す時、いつも僕は微かに緊張する。