Lontano

from: cubicmusic / catalog number: cubicmusic14

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“‥ふと見上げた青空の美しさについて書くことは難しい。
私は何かを見出そうとしているわけではないし、空だって何かを見せようとしているわけでもないのだから。
美しさに気づくのは、脊髄反射みたいなもので、比較や批評の結果ではない。

静電気を発するように、五感を走り抜けてバチッとなにかがやってくる。それを言葉で説明するのはやっかいだ。否、説明する必要もない。この件に関して発話しようと考えて、理屈を語ろうと意識して演算をはじめるころには、すでにいくつか先のシークエンスにまたバチッと撃ち抜かれる。
ほんとうに美しいモノに触れたとき、ヒトはウブな言葉を語るしかなくなる。

詩にとっていちばんやっかいであり、詩が憧れる音楽。それが一ノ瀬響の音楽……。”
(松井茂/詩人)
Lontano
一ノ瀬響
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1. lontano#0
2. 8 hands
3. lontano#1
4. Engien#6
5. lontano#2
6. never/always
7. TOKYO
8. Engine#5
9. lontano#3
10. A missed story
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Produced, Composed, Arranged and by Kyo Ichinose
Recorded by Kyo Ichinose and Masaaki Hayashibara
Masterd by Seigen Ono(saidera paradiso)
Musisians:
Kyo Ichinose : Piano, electronics / Tomohiko Gondo : Euphnium / Wakako Hanada & Nina Furukawa : Violin / Kumi Nakajima : Viola / Seigen Tokuzawa :Violoncello / Reisiu Sakai : voice&vocal / Yukiko Okumura : vocal / Yumito Awano : voice sample

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One step into to this beautiful, fragile and humid opus and you realize that Kyo’s reflections and intented lontano are successfully alive and applied throughout this album. The dreamy soundtrack-factor is high here and you feel like you are floating in the depths of the sea. It’s watery blue. Enthralling in it’s clean beauty. And very relaxing, with nice tiny little hints of uneasyness tossed within. Combining classical acoustic strings, based on “accurate” scores, and textures and modern computer tools, resulting in a post-ambient electronica-touched journey. Overall, this is a timeless ambient classic, proudly standing between Brian Eno and Fennesz.(Dotshop.se

いいですねえ。こういうのがいい。書かれた美しさというより、無意識でも意識的でも伝わってくる曲の強さが素晴らしい。 楽曲は音になると身体表現のようにフィジカルであり、 言語のような記号よりはるかに誰にでも伝わりやすい。 ジャンル分けなんて誰が始めたのでしょう、そんな議論にも生産性がありません。まず、よい作品ありきですから。(オノ・セイゲン/音楽家、録音エンジニア)

‥‥オーケストラのコンサートで各パートが調律をはじめ、あらゆる楽器の音が空間を満たす。 あの瞬間が好きで好きでたまらないのだが、一ノ瀬さんの音楽に触れるたび、同じ興奮をおぼえる。 音が音楽になる直前の、ちょうど境目のあたり。 はじめの言葉が生まれた時も、こんな感じだったかもしれない。 いのちがその秩序にそって姿をあらわす瞬間を、彼はよく知っているのだろう。(西村佳哲/プランニング・ディレクター/リビングワールド

ソロ・デビュー・アルバム『よろこびの機械』(F.R.D. Record)から2年半、作曲家、一ノ瀬響のセカンド・アルバム『Lontano』がリリースされた。本人自らが「できる限り耳を鋭敏にして、丁寧に丁寧に作りました」と語っているように、一ノ瀬ならではの繊細につくり込まれた重層な響きが、耳に優しく、しかし深く鮮烈に染み入ってくる。
前作同様に1〜2分の短いフラグメントと、より長尺の曲がほぼ交互に並べられている。印象的なフラグメントが情景を拡げ、続く長尺の曲がそれを深めていく。アルバムタイトルの「Lontano」が「遠くから」という意味であるように、一ノ瀬の音を聴いていると、近くにありながら遠いもの、遠くにありながら身近なものに、自然と思いを馳せる。
アコースティックであるとか、エレクトリックであるとか、アナログであるとか、デジタルであるとか、そうした先入観に囚われず、まずは一ノ瀬の音全体をなるべくそのまま受けとめてみる。すると最初は気がつかなかった、さまざまな音の囁きや蠢きが聴こえてくる。それは音を直接知覚しているようでもあり、記憶を参照しながらプロセスしているようでもあり、人間が本来持っている感覚や知覚の奥深さをかみしめる。人は自分が思っているよりも、ずっと遠くに行けるはずなのだ。
おそらくこの作品は、僕にとって、これからも幾度となく聴き返す大切なアルバムの一枚になるだろう。一見優しそうなたたずまいの中に、しっかりとした芯を感じさせる。そんな音とは、きちんと正面から向い続けていきたい。何かを聴くということは、鏡を見るようなものである。そこには常に、自分に対する驚きと喜びがある。(久保田 晃弘 )