Month: 1月 2006

Orion, the Hunter

西の空に落ちるオリオンを追いかけて、自転車で帰宅する。
(久しぶりに丸一日スタジオに缶詰。)
六本木から、表参道、西参道を経由して、代々木の駅前を抜け、
以前住んでいた初台の古いマンションの近くをかすめて。
寒すぎない冬の空気が、きりっと体を引き締めてくれる。
オリオンが沈むころに姿をあらわす星座があったな、と、ペダルをこぎながら考える。
そう、蠍だ。
そして、急に「蠍の火」のことを思い出す。
カンパネルラとジョバンニのこと。
遠い、遠い、遠くでの会話。
もちろん、「ほんとうのさいわいは」「ぼく」にも未だに「わからない」。

introspective things

昨年からRebecca Brownという人の著作を続けて読んでいる。
“the gifts of the body”を読み終わり、 “Excerpts from a family medical dictionary”を読み始めたところ。
語学力不足にてスピードはとてもゆっくりだけど、この作者の文章はとても平易でわかりやすいので、あまり苦労せずに読める。
Rebecca Brownの小説は、いってみればハリウッド映画の対極にあるものといってよいだろうか。
個人の視点から、家族、病気、生死を、抑制されたタッチで描写していく。
“unsentimentally, and with sometimes painful honesty,”
と”Excerpts from a family medical dictionary”のバックカバーには書かれている。
感傷を排し、そして、ときに痛いほどの誠実さで、と。
この日記が最近内省的なアトモスフェアに満ちているのは、きっと僕が読んでいるこれらの本の影響もあるに違いない。

what makes you yourself?

生体というのはとても複雑で精密なものだ。
たとえば、僕たちが何気なく毎日している日常の動作、そのことですら、一瞬のうちに損なわれる可能性だってある。複雑で精密なこの機械は、でもそれだけにとても壊れやすい。
わたしたちは愛の光を受けるため、しばらくの間、この地上に置かれた。
と、これはウイリアム・ブレイクという人の言葉。
しばらくの間。か。

New Year!

また新しい年を迎えることができました。
今年もまた、この惑星の公転周期一回分、およそ31536000秒を、
秒速1秒のスピードで歩いていくのです。
(アルキキルコトガデキルデショウカ・デキルトイイデスネ)
でも、
どこに向かって、でしょうか?
すべてが闇に溶け込んでゆくはずなのに。
なぜ、でしょうか?
2006年1月2日。