TOUR DE TSUMARI

今年の6月、旧知の仲であるサイレント・ヴォイスの相澤久美さんから連絡をもらった。「ツールド妻有という自転車のイベントを中心にしたドキュメンタリー映画を撮影している、音楽家として参加してほしい」というのがその趣旨だった。サイレントヴォイスは『なみのおと』などの素晴らしい作品を残している組織で相澤さんはとても信頼できる友人だ。僕に断る理由など全くなかったから、早速会って話をきいた。

「ツールド妻有」とは、2006年の現代アートの祭典「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」において、建築家・伊藤嘉朗氏が企画・発案したアート作品としてのサイクリングイベントだ。サイクリングイベントでもあり、アート作品でもある不思議な位置づけの存在・・しかし、2006年以降、震災のあった2011年を除く毎年、つまりトリエンナーレ開催年でない年にも開催され、着実に参加人数を増やしながら夏祭りのように十日町に浸透してきたという。

「ともかく一度一緒に観に行こうよ」と相澤さんに誘われるまま、伊藤氏、相澤さん、今回の映像作家である泉山朗土氏と共に、今年の8月24日から1泊2日で十日町に滞在して、イベントの様子や地域を体験してきた。

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これがイベントのスタートの時の写真だ。僕が撮影した。小さな町に500人以上の自転車乗りが集まって、きつい坂道を上り下りしつつ、最長120キロのコースを走る。所々に設けられたエイドステーションでは、地元の方々が心づくしの食べ物や飲み物を用意して、応援をしてくれる。

ここにあるのは、それだけのことだ。ただ、それだけだ。
そして、そこに僕は惹かれた。
ここにある「なんともいえない善きもの」を掬いとり、そこから生み出される音楽を作りたい。そう感じた。。

この旅に出る前に相澤さんはこう言っていた。「・・私たちは何か「意味を見いだそう」としてこのプロジェクトをやっているわけではない。十日町の自然、人々、ツールド妻有というイベント記録して、映画を作って、音楽を作って、それで何かを主張しようとしているわけではない。だから、伊藤さん、泉山さん、一ノ瀬くん、3人が同じ方向を向かっていなくてもいい。重なるもの、交差する何かがあれば十分ではないかと思っている」と。

秋から冬にかけて、この未知なるプロジェクトに向き合っていこうと思う。
Redayfor?というクラウドファンディングサイトで、この映画の制作費を募集しています。どうぞご検討ください。
https://readyfor.jp/projects/tsumari

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